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- ゴーストライター2011年12月8日更新
- 米軍通信基地沿いの道は、冬枯れの中をなだらかにカーブを描きながらミューズ(所沢市民文化センター)へと続く。 プレイヤーに入れっぱなしになっているハリー・ポッターのサウンドトラックCDのせいか、フロントウィンドウ越しの景色がまるでスコットランドの風景のように見えてくる。 人もクルマもまばらな道に、やがてジョギングの人影が二つ三つ現れると、不意にそれが最近読んだロバート・ハリス「ゴーストライター」(講談社文庫、2009年)のとある描写とかぶさり、舞台はスコットランドからさらにアメリカ北西部の孤島へと入れ替わる…。 ゴーストライター (講談社文庫) ロバート・ハリス 熊谷 千寿 講談社 2009-09-15 売り上げランキング : 67160 Amazonで詳しく見る by G-Tools 空と海の色がひとつになって、果てしなく続くかと思われる荒涼とした土地。襲ってくる風と雨。
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- 夜風と選挙と自転車2011年11月22日更新
- 「今から来れない?」 妻からメールが届く。 ちょうど市長選の投開票の日だった。知人の選挙事務所を手伝っている妻は、夕食の後そろそろ最初の速報が出る頃だと言って出かけて行ったのだった。 しかし開票は少し遅れているらしい。手持ち無沙汰になった妻は、どこかでお茶でもして時間をつぶさないかと言ってきたのだ。 クルマのキーを持って外へ出ると、夜風が首筋を撫でる。 「今から来れない?」 ふと、20年くらい前に聞いた同じ言葉が甦る。あの日電話の向こうで同じ言葉を囁いたのは、まだ結婚する前の妻だった。 ぼくは借り物の自転車を引っ張り出すと――それは鳥山昌克がぼくのアパートに置きっぱなしにしていったサイクリング車だった――彼女の住む街まで走った。 その頃ぼくのアパートは中野にあって、彼女は下井草に住んでいた。自転車で行けば30分くらいの距離だったろうか。 夜ももうかなり遅い時間だった(
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- 夏が逝く2011年9月6日更新
- 雨に濡れたキャンプ場は、さながら廃墟のようだった。 ぼくは傘をさし、(昨晩はせせらぎだった)濁流のほとりで廃墟の風景を見ている。 今朝早くに降りだした雨は、気がつくとシートを透し、眠っているぼくたちの背中に染みとおりはじめていた。 テントの張り方、というか張る場所に問題があったのだろう。飛び起きてみれば、ぼくたちは雨がにわかに作りだした水たまりの上に寝ていたのだった・・・。 雨の中をやはり傘をさしてもうひとつの影がやってくる。 彼女は傘の中から顔を上げると、いつものように照れくさそうに「朝ご飯どうする?」と聞いた。 高校2年だった。 誰がはじめに言い出したのか、讃岐山脈の中腹にある県営のキャンプ地に行こうという話になった。 メンバーはその頃同じ部活に所属していた友人と後輩の数名。 高校生だけでは許可が下りないというので、誰かの叔父さん(だったか恩師だったか)にアテンドしてもらった
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- 生命はなぜ生まれたのか2011年5月22日更新
- 生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る (幻冬舎新書) 高井 研 幻冬舎 2011-01 売り上げランキング : 7940 Amazonで詳しく見る by G-Tools 生命とは何か。 この不思議な存在を、神という言葉を使わずに解き明かすことは可能だろうか。 それはずっとぼくのテーマだった。 1. 連続的な状態 すこし話はそれるが、昔、京大の霊長類研究所にいた友人に「意識は進化のどの時点から生まれるのか」と聞いたことがある。 彼の答えはこうだった。 「意識のあるなしは連続したもので、ある時点で突然生まれるものじゃないんだ」と。 聞いてみれば、そりゃそうだよなと思う。 意識とは、脳の一種の「状態」 だと考えてみればいい。 高原と低地に境界がないように、健康と病気とに境目がないように、ある状態と別の状態との間にあるのはただ相対的な変化だけだ そう考えてみれば
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- スマートフォン・ブーム2011年1月29日更新
- 暮れにauのスマートフォンIS03を買った。 IS03 それまでスマートフォンは2年前に買ったwillcom03を使っていたので、03から03に乗り換えたという訳だ(メーカーはどちらもシャープ)。 willcom03 気持ちとしては「やっと」という感じだ。au回線を家族契約していることと、willcom03の契約が2年縛りだったことから、iPhoneの流行を横目で見ているしかなかったのだが、auが(ようやく)本格的なスマートフォンを出してくれたことでやっと乗り換えることができた(ついでにケータイと2台持ちの状態も解消できた)。 willcom03はいろいろと使いにくいところが多かった。問題の根本はWindows Mobile。インターフェースの基本がスタイラスを使ったペンオペレーションを前提としている。もっともこれはさまざまなアプリを入れることでiPhone風のタッチオペレーションに変
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- 学ばれない教訓2007年1月25日更新
- もう昨年の暮れの話になるが、ある日の「ニュース23」の特集テーマは「学ばれない教訓」だった。いじめが元で娘が自殺してしまった父親のその後の活動を追いながら、いじめによる自殺が相次ぐ現在を告発しようというのがその趣旨だった。 問題意識に満ちた特集ではあった。しかしぼくは、そのテーマ設定そのものに一種の進歩主義思想を感じとらずにはいられない。そこで言外に語られているのは、つまり「ぼくたちは教訓から何かを学び取っていくべきである」ということと、「にもかかわらず同じ過ちが繰り返される現実は間違っている」ということだからだ。一見正しいことを言っているようだが、実はそうでもない。 教訓が正しく学ばれていくなら、やがてすべての社会問題は解決していくことになってしまうが、そうなのだろうか?むしろ、そういうノー天気な社会観の方が間違っているのではないか?と問いたいのだ。 社会とは、絶え間ない努力を重
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